マレーシア・日本ワークショップ報告


1. はじめに

2002年10月3日、マレーシア・クアラルンプール市において「遺伝資源アクセスから生ずる便益」というテーマで、バイオインダストリー協会(JBA)-国連大学-科学技術環境省(MOSTE)による合同ワークショップを開催した。60名の収容人員の部屋に約120名が参加し盛況であった。
同国とわが国は、NEDOプロジェクト「熱帯生物資源の保全と持続可能な利用」(1993-1998、日本側実施機関はJBA、マレーシア側はMOSTEバイオテクノロジー総局)を通じてすでに交流関係がある。特に、当時マレーシア国民大学(UKM)の副学長であり、同プロジェクトのマレーシア側科学サイドのリーダーであったProf. H. A. Zakriが、現在、国連大学高等研究所(UNU/IAS、在東京)の所長となりJBAとの友好的な関係が続いている。
マレーシア政府は資源アクセス法案を数年前より検討しているが、まだ議会で承認されるには至っていない。本件については、今後も情報収集を続ける必要がある。また、マレーシアは「バイオ・バレー計画」(熱帯生物資源をベースにした3つのバイオ研究所と1つの商業化公社の設立による産業育成計画、2-5章参照)を推進しようとしている。
このような経緯を踏まえて、一層の友好関係を推進するため今回のワークショップを企画した。


2. ワークショップの概要

議長:Prof. Zakri(UNU/IAS)
まず、Mohamed Osman 教授(UKM)が「生物多様性の国際的統治、特にボン・ガイドライン」というテーマで生物多様性条約の実施状況をレビューした。ついで、Latif局長(MOSTE バイオテクノロジー総局)が「マレーシアにおける生物資源の利用」と題して、MOSTEのバイオ政策について発表した。その中で、JBAとのプロジェクト「熱帯生物資源の保全と持続可能な利用」についても言及し、生物多様性の原則に基づいたアクセス・ルートの開拓に役立ったと評価した。そして、炭田(JBA)がわが国バイオインダストリー全般の現状を紹介すると共に、生物多様性条約の時代において、スムーズなアクセスを行う上で生物資源センターが演じる役割に関するコンセプトとスキームを紹介した。

3. おわりに

JBAがMOSTE からBioMalaysia 2002(10月1〜4日)の展示ブースの提供を受け、JBAは展示デスクを設置した。特に、生物資源アクセス活動関連の資料を中心に配付し、JBAの活動をPRした。多くの来訪者があった。
BioMalaysia2002の開会式でマハティール首相が「バイオ・バレー計画」について言及したが詳細の公式発表はいまだなされなかった。経済産業省生物化学産業課の谷係長と当方(JBA炭田)で科学技術環境省大臣と面談し、「バイオ・バレー計画」の公式発表がなされ、マレーシア政府が日本でセミナーを開催することを望むならば、JBAは喜んで協力する旨伝えた。
マレーシアには、すでにわが国の藤沢薬品やニムラ・ジェネティックス社などが遺伝資源アクセス関連で進出しており良好な関係にある。このような関係がさらに発展することを期待したい。

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