CBD/ABSセミナー
「生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)の報告-遺伝資源に関するデジタル配列情報(DSI)の多国間利益配分メカニズムについて」
日 時 :2024年11月15日(金)15:00~16:00
場 所 :ZOOMウェビナー
プログラム
要旨:
2024年10月21日からコロンビアのカリで開催されていた生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)は11月1日(実際には11月2日の朝)で終了した。
COP16はCOP15で「遺伝資源に関するデジタル配列情報の使用から公正かつ衡平に利益配分することに合意する」という決定の中身、すなわち具体的な配分方法について議論し、決定することになっていた。10日に渡る交渉官による大きな会場での議論と、議長と事務局と、各国代表によるクローズドの交渉の後、次のような内容が決定文書として採択された。
【全体】
決定文書のAnnexに、次のような内容の多国間メカニズム(MLM)が規定された。ただし、各国がどのような解釈をし、措置を執るかは不明。
- MLMの対象範囲を定義
- 金銭的・非金銭的利益配分の枠組みを設定
- データベース運営の要件を規定
- 資金メカニズムの運営方法
- 実効性確保のためのレビュー体制を整備
【基金への拠出】
- 基金への拠出は努力義務
- MLMの対象は、全てのDSIではなく、他のABS関連条約や国内法でカバーされていない、一般公開されたDSI
- 「使用」を定義せず、セクターによる拠出となった
- 拠出者は、商業使用するセクターであり、その中でも一定の規模(閾値)を超える事業体による、拠出率の参考値が示された。参考値はCOP17で改めて決定し、以後定期的な見直しが行われる
- 「DSIの使用」は定義せず、拠出対象をセクターとした。そのリストは常に見直される
- 支払は年次、拠出するとMLMの中で通用する支払い証明書が発行される
- 利益配分をするインセンティブを持たせるような国内措置を執ることを締約国に求めた
- 非DSI使用者はオプトアウト可能
- 学術機関は適用除外
【非金銭的利益配分】
- 非金銭的利益配分は努力義務
【基金の配分】
- 直接配分。配分先は、IPLCs、国、能力開発となった。
【COP17】
- 2026年@アルメニアで開催
- 拠出対象に、中小企業を範囲に入れるかを検討し、拠出率、閾値を定める。
- 有効性レビュー方法の決定
- カリ基金からの割当てに関するフォーミュラの決定