ICNP-3 サイドイベント"Current Japanese status for implementation of Nagoya Protocol"


日時: 平成26年2月24日 13:15〜14:45
会場: Alpensia Convention Center, 2nd floor "Meadow Room2 (本会議場隣)
主催: (一財)バイオインダストリー協会
共催: (独)製品評価技術基盤機構 (NITE)
後援・協賛・協力:外務省、経済産業省、環境省、文部科学省


プログラム及び概要

名古屋議定書政府間会合(ICNP-3)の会期初日の昼時間に( 名古屋議定書の実施のために現在の日本の状況)と題したサイドイベントを開催した。このイベントに対し、環境省、外務省、文部科学省、経済産業省の後援及び協賛を頂き、冒頭の挨拶では、環境省の自然環境局自然環境計画課生物多様性施策推進室長である堀上勝氏にお言葉を頂戴した。
当該会場は全体会合の隣の大きな会場であり、50名ほどの来場があり熱心に聞き入っていた。

  1. Summary of the Discussion in the Consultative Committee on the Direction of Domestic Measures established by MoEJ
       上智大学 教授 磯崎 博司(名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会座長)

    会場風景 最初の講演者である磯崎博司教授は、日本の状況について包括的に説明した。教授は環境省が主催する「名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会」の座長でもあり、当該内容の講演者としては、まさに適任であった。名古屋議定書の批准に向けて産業界や学術、NGOからなる専門家を集めた検討会を1年半に亘って開催しており、批准に向かって議論を真摯に進めている事を報告した。特に、3月にまとまる前述検討会の報告書の内容について、日本の方針を丁寧に説明した。参加者にとって、それがまさに名古屋議定書の国内実施の検討に当たっての重要ポイントであるので、批准に向けた作業をしている各国担当者には参考になったことと思う。講演の最後に、批准に向けて各省が各専門家と協力して国内措置を検討することと、検討に当たっては遺伝資源の利用の実態を把握することが求められていることを今後の状況として説明して講演を締めくくった。

  2. International Collaboration in Networking of Culture Collections and Microbial Research
       製品評価技術基盤機構(NITE)技監 安藤勝彦

    会場風景 安藤氏からは保全と微生物資源の持続可能な利用のためのアジア·コンソーシアム(ACM :Asian Consortium for the Conservation and Sustainable Use of Microbial Resources)とNITEが推進する2国間協定に基づく活動が紹介された。ACMは2004年からアジアの12カ国と協力しながら、データベースの作成や、情報共有、人材育成等に携わり信頼関係を築いていること、また名古屋議定書の採択後に向けて微生物を利用しやすいスキームを検討していることが報告された。また、後半部分では、2003年から主にアジア諸国とCBDに則った2国間共同研究協定を結び、微生物遺伝資源へのアクセスと非金銭的利益配分を主とするWIN-WINな関係を続けていることが紹介された。

  3. Experiences in Collaborative Research between Indonesia and Japan
       Dr. Siti Nuramaliati PRIJONO
       Deputy Chairman for Life Science, Indonesian Institute of Science (LIPI)

    会場風景 安藤氏の講演を受けて、日本とアジア諸国の協力体制の一つの例として、インドネシアの科学研究院(LIPI:the Indonesian Institute of Sciences)のライフサイエンス担当のDeputy ChairmanであるDr. Siti Nuramaliati Prijonoにご登壇頂いた。Dr. Prijono氏自身もかつて同院の研究者として日本のファンドによる共同研究による植物・動物の保全や保存施設の増設に携わった経験を持つ。それら生物学分野における科学技術協力の一端を紹介して頂いた。インドネシア側としても、日本との共同研究によって施設の建設はもとより、技術協力が、今後のインドネシアの生態系保全・発展の為にも多大に寄与しているとのお言葉を頂いた。後日談ではあるが、今回のこのプレゼンテーションを準備しつつ、女史は改めて日本と相当な長期間に亘って協力関係を結んでいることを認識できたとのことであった。

  4. Introduction of ABS Task Force Team for Academia
       国立遺伝学研究所 知的財産ユニット室長 鈴木睦昭

    会場風景 国立遺伝学研究所の鈴木睦昭氏は、文部科学省のナショナルバイオリソースプロジェクトの下、アカデミアの研究者向けに海外遺伝資源への適正なアクセスについて、既に40カ所を超える啓発活動を行っているということを紹介した。アカデミアではまだ海外遺伝資源へのアクセスについて十分な理解が得られていない中、適切なアクセスが重要であると説明して回っていると報告された。世界中で大学の研究者が特にABSに疎いことは共通しているが、終了後、参加者から、「我が国はまだアカデミアまで啓発活動は出来ていない(ので今後の課題である)」という感想を得たとのことであった。

  5. Launching of English Translation of the Second Edition of the Guidelines on Access to Genetic Resources for Users in Japan
       (一財)バイオインダストリー協会 技術顧問 炭田精造

    会場風景 炭田は、経済産業省とバイオインダストリー協会が平成17年に作成し、普及に努めてきた「遺伝資源へのアクセス手引」について、名古屋議定書が採択されてすぐに、第2版を作成し、その普及啓発活動を行ってきたこと、またその英語版が今回完成したことを報告した。炭田は、遺伝資源の利用者に特化した遵守ガイドラインが既に日本にあること、それが長年に亘って普及され続けており、日本の多くの企業がこの手引を守っていることを述べた。

各講師の熱弁により、質疑応等の時間がなくなってしまい、参加者からの感想が得られなかったのが残念ではあったが、日本が名古屋議定書批准に向けて確実に歩みを進めていること、また既にABSの普及啓発を、企業に対しては15年以上行っている事に加え、最近は学術分野にも力点をおいて活動しており、各分野にABSの概念や遵守の実践が行われていることを印象づけたと確信する。事実、期間中、新しく完成したアクセス手引の英語版は、持ち込んだ300冊の殆どが無くなってしまい、各国の担当者が携えているのを多く見かけた。また、本会議の場で、日本は啓発活動を行っている国であると紹介されたり、またアフリカの一担当者には日本がユーザガイドラインを策定している国であると新たに認識してもらったことなど、確実な反響を得ることができた。

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