JBA 野崎 恵子
質疑応答
2014年(平成26年)2月24日(月)〜28日(金)に韓国の平昌(ピョンチャン)にて、名古屋議定書に関する政府間委員会第3回会合(ICNP-3)が開催された。
名古屋議定書には、ICNP-3開催時点で29カ国が批准しており、EUの批准が間近ということもあり、いよいよ発効が近づいているという雰囲気の中での開催であった。
内容については、井上の資料に詳細に記載されているのでご覧頂きたい。
他、ICNP-3で得た他国の名古屋議定書実施状況や、JBAが主催したサイドイベント” Current Japanese Status for Implementation of Nagoya Protocol”についても報告した。またサイドイベントで発表した、「遺伝資源へのアクセス手引(第2版)」の英語版(日本語版は名古屋議定書採択の3ヶ月後、平成21年2月に発行した)についても紹介した。
(ICNP-3のサイドイベントについては、別ページの報告を参照ください。)
尚、質疑応答の際に出た話題は次の通り。
環境省の下で開催されていた「名古屋議定書国内措置検討会」の結果を、当該会合の委員でもあるJBA炭田から報告。
EU理事会でEU規則案が承認された場合、EU加盟国が全部一斉に名古屋議定書に加盟するのか?
→ EUはそれ自体で1つ。EU加盟国は各国がそれぞれ国内手続きを踏んで批准することになるので、28カ国が一斉ではない。
ABSクリアリングハウスのパイロットフェーズについて、現状は?
→ https://absch.cbd.int/ が公開されている。ICNP-3で勧告案(UNEP/CBD/ICNP/3/L.6)が採択されているとおり、COP-MOP1までに準備が整うよう運用準備段階に移り、各国は”Publishing Authority”や”National Authorized Users”を指定し(登録し)、現状のCBDのWEBサイトにあるABS Measure databaseやNational Focal Point 等の国別レコードを入力していくことが推奨されている。
入力するべき項目(マンデート)が決まっていないので、実際の所、どこまでのどういった情報が掲載されるか不明。
CBDの会議では、育種の分野は目立たないが、意見等は出ているのか?
→ 育種の分野には、ITPGR(International Treaty of Plant Genetic Resources: 農業遺伝資源条約)がある。 そもそもCBDの2国間協定は、育種分野にはそのトレースの困難さ故になじみにくく、ITPGRの多数国間メカニズムの方がフィットしている。
現時点では、ANNEXにリストされたものではあるが、それを拡大して行く方が世界の今後の食糧事情を考えた場合には良い方向と言えるのではないだろうか。