ブラジル
基本情報
(2021.3掲載)ブラジルはCBDの締約国であり、名古屋議定書へは2021年3月4日に批准、同年6月2日に締約国になる。
名古屋議定書以降、ブラジルは「ブラジルの遺伝財産に関する2015年5月20日付法律第13123号」を策定し、「2001年8月23日付暫定措置令2186-16号」からの移行期間を1年設けつつ、これを廃止した。
特徴としては、遺伝資源ではなく「遺伝遺産」を対象とし、その定義には2次情報まで含む広範はものが含まれること、トリガーを「利用」におき、取得時等は取得時には SisGen※にてオンラインによる登録(ブラジル国内人のみ可)をして利用時には通知して利益配分協定を締結すること、ブラジル国内企業との連帯責任という形でブラジル領域外への適用を図った事である。
他にも、13123法において、アクセスもPICもCBDとは定義が異なることに留意が必要であるし、ブラジルは利益配分が年間純売上高の1%となっているが、それにはブラジルの遺伝資源が製品の付加価値の主要な要素であるかどうかがキーとなっている点などが挙げられる。
また、先住民族が多いブラジルにおいて、遺伝資源に関する伝統的知識も豊富であるが、この規定についても枠が策定されたと言えよう。ただし、運用は不透明なので、遺伝資源に関する伝統的知識にアクセスする場合は、慎重な対応が必要である。
ブラジルの遺伝遺産には、外国人がアクセスすることは出来ないので、現地のカウンターパートが必須となる。
尚、2020年4月22日にブラジル政府より発出された「遺伝財産および伝統的知識に関する省令No.199」には過去に実施したアクセス手続き等の現行法令への適法化手続きについて記載されているものの、これについてJBAからブラジル政府担当者にシステムの開始や手続きの提出期限について尋ねたところ、2020年10月15日の時点では、次のように回答があった。従って、まだこの手続きは実施できない。将来、開始について情報があった場合には速やかにこのページにてお知らせしたい。
質問1:外国機関の活動を適法化するために必要な確約書の提出期限はいつですか?
回答1:まだ提出期間が始まっていないため、提出期限はありません。
質問2:外国機関がアクセスおよび通知登録するために必要な機能を備えたSisGen(国家管理システム)のバージョンを一般公開するとする遺伝財産管理委員会(CGen)管理局長による正式通達は公布されましたか?
回答2:CGen管理局長の正式通達はまだ公布されていません。
質問3:.正式通達がまだ公布されていない場合、その公布はいつ頃を予定していますか?
回答3:正式通達は2021年の初めまでに公布される予定です。
※ 2020年12月現在は、このシステムに入るためにはモジュールのダウンロードが必要です。ログインページにアクセスするとモジュールが入っていない場合には自動でダウンロードのページに切り替わります。
CBD/ABS関連法令
法律
この法律の制定に伴い、暫定措置令2186-16号(2001)は廃止されます。
その他情報
- 【お知らせ】
2000年6月30日から2015年11月16日までの間に、ブラジルの植物、動物、微生物等の遺伝財産および伝統的知識に関する活動を行った方へ - H27年度報告書
「ブラジルの新ABS法「ブラジルの遺伝財産に関する2015年5月20日付法律13123号」の概要 ‐ブラジルの遺伝財産等を利用する際の手続き‐」 - 製品評価技術基盤機構(NITE)のブラジル情報
- 国立遺伝学研究所ABS学術対策チームのブラジルの情報